突然ですが、6÷2(1+2)の答えはいくつになるでしょうか?
すこし考えてみてください。
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Tick!
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Tock!
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さて、解けましたでしょうか?
すでにお気づきの方もいるかと思いますが、答えは9と1に意見が分かれます。
この問題は、台湾のFacebookコミュニティで出題され、約342万人が回答し、9と回答した人が149万人、1と回答したのが193万人という結果になりました。出題者の意図としては9が正解で1が不正解だったようでが、正解をめぐってネット上のユーザーだけではなく数学者も巻き込んで、様々な議論がなされました。また、この問題は計算機によっても回答が分かれることが確認されています。お手持ちの計算機ではどのような結果になるのかやってみるのもよいかもしれません。
では、なぜ回答が分かれる結果になったのか、それぞれの計算プロセスを詳しく見ていきましょう。
■ 9となる場合
- まず最初に括弧の中を計算すると 1+2=3
- あとは掛け算と割り算だけの式となる 6÷2×3
- 掛け算と割り算だけの式は左から右に計算していくので 6÷2=3
- よって、3×3=9
これは小学校で習った四則演算に従って解くやり方です。
■ 1となる場合
- まず最初に括弧の中をxとおくと、式は6÷2xとなる
- これを計算すると6÷2x=3/xとなる
- x=(1+2)だからx=3となる
- よって、3÷3=1
これは2(1+2)を2xという一つの項としてみなすという代数的な考えに従って解くやり方です。
どちらも計算プロセスは正しいように思えます。
では、結局どちらが正しい回答なのでしょうか?
実は先に上げた二つの見解の他にもう一つの考え方があります。それは、この問題自体が間違っているのではないかというものです。回答が二つに分かれる原因は2(1+2)の解釈にあります。つまり、2が(1+2)の係数になっているのか、2×(1+2)の省略として書かれているのか、この点がはっきりしていないため、回答も二つに分かれてしまうのです。したがって、それが厳密に定義されていない限り、この問題は数学的問題として成り立っていないと言えます。
このことから何が言えそうでしょうか?
我々は問題が与えられたときに、真正面から解くことに囚われがちです。特にこのような単純な式は、皆さんも答えがあると決めつけてしまったのではないでしょうか?この問題は、そういった落とし穴を気づかせてくれるいい問題です。何か考えに行き詰った時、問題そのもの自体を疑うことが問題を解くカギとなるのかもしれません。
(K.K)