「BCGの予防接種をしている国ではCOVID-19による死亡者数が少ない」という事実から、BCGワクチンの予防接種をすることで新型コロナウイルス感染症による死亡を防げる可能性があるのではないか、ということが昨年(2020年)話題になりました。
しかし、ここで示されている事実は、「相関関係」があるということであり、「因果関係」があるかどうかまでは確認されていません。
一見、因果関係があるかのように見えてしまう相関関係の分かりやすい例として
「夕焼けの翌日は晴れる」
というものがあります。
しかし、「夕焼け」と「晴れ」には、相関関係はありますが因果関係はありません。ある気象条件によって、夕焼けが誘引され、同じ気象条件の場合には晴れることが多いというのが科学的分析によって説明できます。
ところが、本来の両者の原因となっている「気象条件」を人間が観測できないので、直接的に観測できる2つの事象「夕焼け」「晴れ」を結びつけてしまったわけです。
BCGとCOVID-19の場合はどうでしょうか?
各方面で「相関関係」が示されているのは周知のとおりです。これは医学関係者も認めています。しかし、現在のところ、新型コロナウイルス感染症に対するBCGワクチンの効果は科学的に立証されていません。
参考)日本ワクチン学会「新型コロナウイルス感染症に対するBCGワクチンの効果に関する見解
実は、機械学習においても同じ問題が発生します。
機械学習を使うことで大量のデータを統計的に処理して、その中から相関関係を導き出すことはできます。しかし、どのようなデータを渡すのかを決めるのも人間ですし、その結果を最終的に判断するのも人間です。
単なる相関関係であるものを(誤って)因果関係として処理しようとすると、例えば『40代ひとり暮らしを減らせば日本がよくなる』などというトンデモな結論が導かれるようなことが起こってしまいます。
(M.H)