コラム:演繹推論と帰納推論

今回は、「推論」の話です。
推論とは、前提から結論を導くものですが、実は複数の形態があり、時としてそれを混同して使われている場合があります。 ここでは「演繹推論」と「帰納推論」の違いについて述べてみます

演繹推論」とは、「確実な事実」を「普遍的な規則」に適用することで、「新しい事実」を導き出すものです。いわゆる三段論法と呼ばれる方法と考えてもらってかまいません。
「確実な事実」を「普遍的な規則」に適用するわけですから、導き出された「新しい事実」は必ず正しい結果ということになります。

よく例として挙げられるのが次のようなものです。

「ソクラテスは人間である」(事実)
「人間はいつか死ぬ」(規則)
→ 「ソクラテスはいつか死ぬ」(新しい事実)

次に「帰納推論」ですが、二つの事実の関係から、それを結びつける規則を導き出します。
こちらは導かれた結論は必ずしも正しいとは限りません。しかし、時として、いかにも真実であるかのように見えてしまう場合があります。

分かりやすい例としては、次のようなものがあります

「夕方に夕焼けになった」(事実)
「次の日は晴れになった」(事実)
→ 「夕焼けの次の日は晴れになる」(新しい規則)

夕焼けと晴れの関係が強い(回数が多い)場合には、導き出された「夕焼けの次の日は晴れになる」の信頼度は高くなります。しかし、これは必ずしも正しくありません。

そして、前回のコラムで書いた「BCGの予防接種をしている国ではCOVID-19による死亡者数が少ない」という事実から、「BCGワクチンの予防接種をすることで新型コロナウイルス感染症による死亡を防げる可能性があるのではないか」と導いたのもこの帰納推論によっているのです

帰納推論は規則を導き出しますが、それは規則の候補を導き出しているにすぎません。それが正しいかどうかは、別の方法によって証明することが必要になってきます。

(M.H)

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